Hold my hand…

「あなたにとって手とは―」

毎回出演者にこう質問する番組があるらしい
いい質問
まず思いつくのは
手段
かな

職人さん
楽器弾く人
絵描きさん
パティシエ
鍼灸師

道をきりひらく
自らの手で
イメージを実現する
この手で
というイメージ

自分なら何て答えるかって想像すると
すぐには当てはまらないんだな
「手段」ってのが
まず思い出すのが・・・

今年秋の大阪のローソンのおばちゃん
コーヒーを手渡すとき 私の手にそっと添えられたおばちゃんの手
ソーシャルディタンス真っただ中
無意識に無邪気に発信されちゃうそのやさしさは
パンデミックの衝撃をおおらかに超越している
打たれたように心弾んで
にまにましながらホテルの部屋に戻った

高校からの親友がライブに来てくれて
元々ハグするような間柄でない我々
別れ際に友は無言で両手を伸ばした
わたしは無言でその手を取り
「じゃあね」
「来てくれてありがとうね」
さようなら
再び友は両手を伸ばし
わたしはその手を取って
「うんうん」
「じゃあね」
さようなら
そして再び友は両手を伸ばした
おーいおいおい友よ!
名シーンですよ我々至上最高の
打ってくれるじゃない
わたしの芯を

手は嘘をつけない
これ以上ないくらいあからさま
「想ってるよ」
を隠せない

手の温かい人だった
体も心も芯から冷えたとき
気が済むまで背中をさすってくれた
本当に湯船につかってるくらい気持ちよかったんだ

この手を愛しい者のからだの一部にそっと添える
手は―
フォースを伝える

イエス様は弟子たちの足をそのみ手で洗ってさしあげた
[ヨハネによる福音書13章]